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ルート営業はつらいよ

ルート営業とは

他の人から楽に見られるようなルート営業ですが、
内情はそれほど楽なものではありません。

ルート営業という仕事では、既存の顧客に定期的に訪問して、
発注についての意見を聞いたり、時々新しい製品について
案内などをしていくという仕事です。

楽だと思われる原因は、新規開拓をする場合と違って客先から
冷たくあしらわれることがないということですが、
かえってそのことが心労になる場合もあります。

私が今の仕事に不満があるのは、
その真綿で締められるようなじわじわした不安感を感じてしまうからでもあります。

私はまた今の勤務先に勤めて数年程度の若手社員ですが、
担当になったお客さんのいくつかは先に辞めていった
ベテラン社員さんからの引き継ぎでした。

ベテラン社員さんはある大手企業さんを20年近くも担当してきた
長年のお付き合いのある人で、
取引先の担当者さんと個人的な付き合いもかなりしてきた人のようでした。

先輩社員さんは結構独自の営業スタイルを持っている人だったので、
あまりこまめに上司である専務や社長には報告をすることはしてこなかったといいます。
それでも定期的に仕事はとれていたので、
特に問題とはしてこなかったというのが私が入社するまでの流れでした。

そんなベテラン社員さんは、私が入社してしばらくした時期に
経営者の一人と大げんかをして退職をしてしまいました。
もとから折り合いは悪かったのであまり意外な展開ではありません。

顧客が取られそうになった

そこで私に彼が担当していた仕事が回ってきたのですが、
驚いたのがほとんど取引内容について記録をされていないということでした。
長年の付き合いということで、かなり雑な取引を繰り返し行なってきたようです。

それでもかなり取引金額は大きかったので、
それまでの信用を失わないようにと私なりに気を遣ってきたのですが、
ある日その会社さんに行ってみたところ、非常によそよそしく出迎えをされました。

なんとなく嫌な予感がしたので上司に相談をしてみたところ、
どうも辞めたベテラン社員さんが別の競合他社に再就職をし、
そのかつての取引先さんに接待攻勢をかけているということがわかりました。

幸い気づくのが早かったので、社長自ら問題の解決に乗り出してくれましたが、
報告が遅れていたら私のせいで大口顧客がまるごととられてしまうところでした。
そう考えると今も時々胃が痛くなるような思いです。

現状維持というのは、緊張感の抜けない厳しい仕事と気づいたのはその時がきっかけでした。